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【第1種と第3種換気の電気代比較】結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い

 
どうも、まめろーです。
 
前回、熱交換タイプの電気代節約比は年間¥5000程度という衝撃の結果を算出してしまいました。これだと、第1種と第3種のイニシャルコスト差額¥44万を回収するのに76.2年必要です。
 
ただし、前提条件が次第ではかなり結果が変わるかも、ということで少しパラメータスタディしてみました。

換気の電気代比較に関する記事は、これが最後になります。
 
 

先に結論:第1種と第3種換気の電気代差額について

 
今回の検討からの結論。
 
結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い
 
 

パラメータスタディの内容


前回、簡単な考察もしましたが計算の前提上件として気になるところは下記3つ。

①外気温が低い所の方が差額が大きくなるのでは?
 
②外A/C稼働時間:12hr/日が少なすぎるのでは?
 
③換気回数0.5回/hrが少なすぎるのでは?
 

①~③どれも前回の条件よりA/C電力負荷が厳しい方に振ってやれば、年間の電気代差額が大きくなると思います。この仮説の内のどれか、または全部やればイニシャルコスト差額を10年くらいでペイ出来るとこまでいくと良いのですが。
(いや、別に私が第1種換気を導入する訳では無いんですが…)
 
 

①外気温が低い所の方が差額が大きくなるのでは?

 
前回の計算時は、温暖な神奈川県横浜市の気象データを元に外気温を設定しました。省エネ基準地域区分では6です。
気温と湿度はA/Cを稼働している期間の9:00~21:00の平均値(直近3年分の平均)を使っています。

気象庁HPから6地域のデータを取得

 
ここでは神奈川より北側の省エネ基準地域区分5~1の都市の気象データを抜き取り、気温・湿度の平均値を取ります。
②でA/C稼働時間を12~24hrまで増やして計算するつもりなので、それに合わせて平均値も複数取ります。
代表で、気温・湿度の12hr平均(9:00~21:00)と24hr平均(0:00~24:00)の6地域のグラフを以下に示します。
 

f:id:MAMERO:20200506140219j:plain


横軸が地域で、右に行くほど寒い地域です。縦軸は気温(℃)で夏(7~9月)、冬(12月~3月)それぞれで平均値を出しています。
12hr平均が概ね昼~夜の平均値なので、24hr平均の方が深夜の気温が加味されて低くなっています。
6地域の神奈川と1地域の北海道では平均値で10℃前後差が出ています。

ここに湿度のデータを追加するとこうなります。
 

f:id:MAMERO:20200506140225j:plain

右軸に湿度を追加。点線▲プロットが湿度のデータです(湿度は右軸)。
寒い地域に行くにつれて概ね右肩下がりだった気温に比べて、湿度は夏と冬の湿度差がが少なくなって、収束していくように見えます。
また、収束しつつも寒い地域に行くにつれ若干の右上がりでしょうか。
このあたりはデータ取得した地域の特性(盆地だったりとか)にもよると思うので、一概に寒さと湿度の相関があるかはわかりません。

とはいえ、今回このデータを使う限り、顕熱負荷は1地域に行くにつれて上がるが、潜熱はさほど影響ないかも、と予測します。
 

6地域の電気代差額を算出

 

f:id:MAMERO:20200506140612j:plain

寒い地域でも、あまり電気代差額が上がりませんでした。
これは、冬は差額が大きくなる方向なのですが、夏は寒い地域だと外気が冷房した室温に近しいため、夏場での熱交換メリットが薄いことが影響しているようです。
 

②A/C稼働時間:12hr/日が少なすぎるのでは?

 
となると、次のA/C稼働時間を変化させてみます。

元々の計算は、夏は3ヶ月(7~9月)、冬は5ヶ月(11~3月)1日12時間A/C稼働させることにしてました。
これが少ないかどうかは人それぞれですが、一応我が家のスタイルはこんなものです。
とはいえ、夏は深夜も付けている日があったりするし、世間一般でも24時間空調システムを導入してるご家庭もあると思うので、年々A/C稼働率は上がっているとは思われます。
 
ということで、稼働時間を1日12時間から2時間ごと増やし、MAX24時間まで計算してみます。
 
計算結果がこちら。
 
 

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A/C稼働が24hr/日になると、年間の稼働時間は5840時間。実に1年のうち67%がA/C付けっぱなしです。
ここまでくると温暖な6地域でも年間の電気代差額¥15,000を超えて来ます。1地域では¥18,000超え。

私の当初の熱交換タイプの電気代節約費用イメージが、このあたり(年間¥2万儲かればいいな、って感じ)でした。
とはいえ、これではイニシャル差額回収にはまだまだ及ばず。
 

③換気回数0.5回/hrが少なすぎるのでは?

 
ここまでは建築基準法下限値の換気回数0.5回/hrで換気量を計算していました。
これは家の中の空気を2時間で全て入れ替える量です。この辺りのことは以前触れました。
 
 
シックハウス対策やCO2濃度低減のためには換気量が大きい方が良いのですが、換気量が多くなればなるほど冷暖房時の電気代が高くなります。
エアコンで部屋を暖めている時に窓を全開にしてたら、中々温度が上がらず電気代に影響する、というのはイメージつくかと思います。

この換気回数ですが、実際には0.5回/hr下限値を目指すのは難しいと思います。
数字上は下限値付近を狙えなくはないですが、実際には給気口やらダクトやら外部風圧による圧損などが絡むのでスペック上0.5回/hr程度の排気量だと実際には換気量が足りない、なんてこともあるでしょう。
その辺りを考慮して排気量を多く設定していたりして、1回/hr以上の換気量になっている場合もあると思います

ともあれ、実際の換気量はわかりませんが、0.5回/hrの換気回数を0.25回刻みで1.25回/hrまで増やして計算してみました。
 

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このグラフは横軸:換気回数、縦軸:電気代差額です。温暖な6地域の神奈川で計算してます。
赤い点線より上にいくと第1種熱交換のイニシャルコスト¥44万を10年で回収できることになります(年間¥4.4万)。
温暖な神奈川では、換気回数を1.25回/hrまで増やして、A/Cを1日20時間(4867時間/年)以上稼働すれば10年でイニシャル回収できるわけです。

6地域分の換気回数変動による差額計算をすると、下図のようになります。
(ビジーな表ですみません)
 

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換気回数1回/hrでは、3地域より寒いところならA/Cを24時間稼働させれば10年でイニシャル回収できます。
 

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換気回数1.25回/hrでは、A/Cを1日20時間(4867時間/年)以上稼働すれば概ねどの地域でも10年でイニシャル回収できます。
 

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換気回数1.25回/hrは48分で家中の空気が入れ替わる量の換気なので、さすがに過換気と言えます。これではやはり、第1種熱交換を入れるためのイニシャルコスト差額回収はやはり厳しいと言わざるを得ません。
 
 

再び結論:第1種と第3種換気の電気代差額について

 
結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い
 
 

補足として


第1種熱交換式と第3種換気のイニシャルコスト差額を電気代差額分で回収するには、過換気(換気量を1.25回/hr以上)にする必要があることから上記結論に至りました。

しかしながら、3地域より寒い地域でA/Cを24時間稼働させていれば、イニシャルコスト7割回収出来るので、快適性と換気安定性を考慮すると第1種熱交換換気を導入する価値は大きいと思われます。
 
逆に4地域より暖かい地域で第1種換気熱交換を導入する場合は、高いお金を犠牲にして快適性と換気安定性を取るということで腹を括りましょう。
間違っても、「熱交換ありなのでトータルお安くなりますよ」という営業トークを理由に選択しないようにしましょう。 
 
 
さて、これで換気システムのコストについては、自分の中でスッキリしました。
とは言え、我が家は第3種換気を選択していますし、次回からはパイプファン換気の換気設計についてを。
 

…えっ、まだ続くの?

【第1種と第3種換気の電気代比較】潜熱考慮してもイニシャルコスト回収に72.6年必要です!?

 
どうも、まめろーです。

前回、潜熱計算方法の把握までは出来たので、今回こそ、第1種全熱交換と第3種換気の電気代比較をします。
 

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改めて、ここでいう電気代とは、24時間換気と局所換気(レンジフード、トイレ、浴室の換気)による空気の入れ替えで生じる、A/C電力負荷です。
なのでA/C電気代と言っても、家の断熱性能には左右されませんし、A/Cにかかる電気代全てを計算しているわけではありません(その際は断熱性能加味しないといけません)。

あくまで、換気による空気の入れ替え時に熱交換有り無しでどの程度電気代が変わるのか知りたいだけです。
第1種換気の熱交換式じゃないとお金がもったいないよ、というのが本当かな?と思っているのです。

さて、前置きはその程度で、本題の方へ。
 
 

前提条件の外気温と相対湿度


さっそく潜熱分の計算を…と思いきや、計算するうえでの外気温と湿度をどうするか。
 
この前、顕熱計算時の前提条件では、

・外気温 1℃(冬)、32℃(夏)
・室温 25℃(冬)、22℃(夏)

としていました。
室温は自分が普段それぞれの季節で、気持ちよく過ごしている温度にするだけなので良いですが、外気温と今回の計算に必要な湿度は適当じゃいけません。

この前の計算は、夏冬それぞれの最低気温くらいで算出してしまいましたが、ここの設定が現実と乖離していると計算結果への影響も大きそうです。
ということで、気象庁のサイトから自分が住まう場所のデータを取得します。
 

こちらのサイトからは各地域の気温、湿度、風速、降水、日照、積雪、曇量など色々取得できます。なんとも素敵です。

今回欲しいのは、A/C(冷暖房)を使用する下記の期間の、気温と湿度。

・夏 7/1~9/30 9:00~21:00(12hr)の気温と湿度 直近3年分
・冬 11/1~3/30 9:00~21:00(12hr)の気温と湿度 直近3年分

A/C使う期間は多少前後するものの、概ねこのぐらいでしょう。本当は直近10年くらいで平均値を出そうと思ったのですが、ダウンロード制限に引っ掛かりました。
 
あと、気温については自分の住む地域のデータがあったのですが、湿度についてはデータが無く。仕方なく、横浜の湿度で代用することに。

・夏 平均気温27.1℃、平均湿度73.3%
・冬 平均気温10.1℃、平均湿度53.5%

でした。やっぱり前回の計算は不利に見過ぎでしたので、今回はこちら用いて計算します。
 

前提条件

 
エクセルで作った計算シートベースで説明していきます。
まず、計算の前提条件がこちら。
 

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先ほど調べた気温と湿度は、「外気温」と「外部相対湿度」というところに入力してます。

 
第1種換気の熱交換率は顕熱:90%、潜熱:70%としています。結構良い値だと思います。
 
換気回数は基準の0.5回/hrで計算(局所換気分除く)。
本当は0.5回ピッタリなんてことはないけど、とりあえず検証用なのでこれで良しとします。

これを元に、①換気設備消費電力費用、②換気損失費用(顕熱分)、③換気損失費用(潜熱分)を計算して、第1種と第3種を比較していきます。
 

①換気設備消費電力費用

 

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一番上が換気設備の消費電力費用です。第3種パイプファン仕様の方が¥3,000近く安いです。

これは、換気システム本体の消費電力が第1種の方が高い(澄家DC-Sベース)こともありますが、第3種は局所換気も24時間換気に取り込んでいる分も安くなっています。
第1種だと24時間換気にプラスで局所換気の電気代が乗ってくるので多少不利です。
 
それよりも注目点は赤枠で囲った「実質熱交換率」です。
前提条件では顕熱:90%、潜熱:70%だったのですが、実際には顕熱:60.05%、潜熱:46.7%と大きく落ち込んでいます。
これは、熱交換する24時間換気量に対し、思いのほか局所換気量が大きいためです。
(特にレンジフードと風呂の換気)

消費電力費用の下に、年間の総換気量(24時間換気+局所換気)、24時間換気量、局所換気量が出ているのですが、総換気量のうち熱交換する24時間換気量は66.7%しかありません。実に1/3が熱交換していないことになります。
 
また、第1種と第3種で総換気量が違うのは、局所換気を24時間換気に組み込んでいるかどうかの差です。
 

②換気損失費用(顕熱分)

 
ここは以前も計算した、換気時の電気代損失のうち顕熱分の損失です。
 

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一番上が換気によるA/C電気代の損失(顕熱分)です。夏冬合わせて、第1種が年間¥3,749安いです。
 
計算式自体は大きく変わってませんが、前提条件の温度だったり熱交換率(※第1種の熱交換は先ほどの「実質熱交換率」で算出します)だったりが変わってるので、結果も変わってます。
 

③換気損失費用(潜熱分)

 
今回追加した分の計算結果(潜熱)です。
 

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一番上が換気によるA/C電気代の損失(潜熱分)です。夏冬合わせて、第1種が年間¥4,898安いです。
 
熱交換率も寄与してますが、湿度も温度と同等以上に負荷がかかってます。
 
 

第1種と第3種換気の熱交換有無による電気代差額

 
検証結果がこちら。
 

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なんと、年間の差額がたったの¥5,770しかありませんでした。
1ヵ月じゃないですよ、年間ですよ。
 
イニシャルコスト差額¥44万(第3種の方が安い)を電気代節約分でペイするには、76.2年もの歳月が必要…いやこれ無理だろ。

正直、潜熱考慮すれば電気代の差額が広がり、もう少し早くイニシャルコスト差額は回収できるかと思っていましたが、全然ダメでした。
 
自分で計算しておきなが、結構衝撃です。
 
 

計算結果についての考察

 
第1種熱交換タイプのWebページを見てみると、年間の電気代節約費用を謳っていたりしますが、大体¥2~5万の電気代節約、すごいところだと¥10万以上/年間の電気代節約になると書いていたりします。
でも、そういうところに限って細かな計算とか載っていないので比較できません。
 
電気代節約費が近しいところでいうと、共立エアテックのサイトで熱交換タイプの省エネ効果が算出されていました。3種のダクトタイプ比で年間¥12,086の電気代節約となっています。
ランニングコストの差額内容も結構細かく書かれてます(でも多分だいぶ昔の計算)。
 

これを自分の計算と比較すると、大きな違いは
 
・A/C冷暖房時期が長め(1.48倍)
・外気温・湿度が不利すぎる(冬は絶対湿度1.4g/kgで計算)
・COP(成績係数)が悪い(冷房3.57、暖房4.0)

このあたりです。

この前提条件から推察するに、各メーカー、電気節約費用が最大化する条件でやっているのだと思います。

冷暖房は24時間近く使う、外気温は北海道、COPは少し悪目で、なんていう条件だったらかなり電気代の差額が出るかもしれません。
 
あとは、換気量を換気回数:0.5回/hrで算出している部分です。
建築基準法上は換気回数:0.5回/hrを上回っていればOKなわけで、換気システムの換気量はそれを上回っているのが多いと思います。
換気システムの換気量を増やせば電気代差額はどんどん広がるので、その辺りももう少し検証する必要があります 
 
その辺り、次回パラメータスタディしてみようかと思います。
 
 
そろそろ、終わりが見えてきました。

【第1種と第3種換気の電気代比較】潜熱の計算方法とは?

 
どうも、まめろーです。
 
前回第1種と第3種換気の電気代計算をして、どの程度熱交換タイプが安いのか検証しました。熱容量計算では湿度分の熱計算が出来ていなかったので、今回はそのあたりを検証していきます。
 

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潜熱とは

 
まずは専門用語の潜熱を理解します。

第1種換気の熱交換では顕熱交換(温度のみ)と全熱(温度と湿度)の2種類あります。
全熱の場合、顕熱+潜熱の交換となっており、潜熱=湿度として記載されているのがほとんどです。
 
潜熱とは
潜熱(せんねつ、英語: latent heat)とは、物質の相が変化するときに必要とされる熱エネルギーの総量である。通常は融解に伴う融解熱と、蒸発に伴う蒸発熱(気化熱)の2つをいう。潜熱の概念は1750年にジョゼフ・ブラックが導入した。 物質が固体から液体、もしくは液体から気体に相転移するときには吸熱が起こり、逆の相転移のときには発熱が起こる。

 (Wikipediaより引用)

 

これだけだと全くわからないです。

もう少し調べたところ、ざっくり言うと潜熱とは「状態変化(物質が固体・液体・気体と状態を変えること)に使われる熱」のこと。

液体が気体になる時には潜熱が必要(外部から熱を奪う)だし、気体から液体になる時には潜熱を除去(熱を外部に放出する)する必要があります。
前者はいわゆる気化熱というやつで、汗をかくことで体温を下げる、というのが身近な例です。

これが湿度変化による電気代損失の計算とどう結びつくかですが、例えば室内の相対湿度を上げる際に加湿機を使います。過熱して加湿するものと、水分を霧吹きにして出すものがありますが、後者の場合湿度が上がる替わりに温度が下がります。我が家の加湿機がまさにこのタイプなので、真冬に加湿機のスイッチ押すと寒いのです。
これは水蒸気量が増える際に熱を奪っている(潜熱)からです。
寒くなると暖房を強くしないと室温が下がるわけで、こういった分がA/C電力の負荷となってくるわけです。
 

湿り空気線図とは


換気による電気代損失のうち潜熱分を把握したいわけなのですが、調べると「湿り空気線図」なるものがありまして。
 

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(出典:空気調和・衛生工学会)
 
 
線だらけでわかりづらいのですが、この図で顕熱変化と潜熱変化に対する比エンタルピーがわかります。
エンタルピーは物体の持つエネルギーの総量(kJ)です。また、単位質量当たりの物体の持つエネルギーは比エンタルピー(kJ/kg)といいます。
 
一例として、a)温度0℃ 相対湿度50% → b)温度20℃ 相対湿度50% の時を見てみます。
この線図では横軸:温度(℃)、縦軸:絶対湿度(kg/kgDA)、曲線:相対湿度(%)となっているので、a、bをプロットすると下図のようになります。
 

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ここでa、bそれぞれの点から左上の「比エンタルピー線(kg/kgDA)」まで線を伸ばすと、温度と相対湿度の変化による比エンタルピーがわかるわけです。

面白いのは、a点から右側に線を伸ばして行くと絶対湿度がわかるわけですが(ここでは絶対湿度0.018kg/kgDA)、その線と20℃の線の交点をc点とし、左上の比エンタルピー線まで伸ばすと顕熱分の比エンタルピーが分かるのです。
同様にc点からb点までの比エンタルピーが潜熱分になります(顕熱と潜熱を合わせて全熱)。
 

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これはつまり、横軸:温度の変化が顕熱縦軸:絶対湿度の変化が潜熱ということ示しているわけです。
 
また、この図を見てわかるとおり、0℃→20℃に変わる際に絶対湿度(水蒸気量)が変わらない場合は、相対湿度が下がります(a→c点)。
相対湿度は「水蒸気量(g/m3) / 飽和水蒸気量(g/m3)」なので、相対湿度を上げるには水蒸気量を上げるか、飽和水蒸気量を下げる必要があります。
分母の飽和水蒸気量は温度で決まるので、この場合水蒸気量=絶対湿度を上げる必要があります。

ちなみに、温度と飽和水蒸気量の関係性は以前も出しましたがこのグラフ。
 

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温度が上がると飽和水蒸気量(=空気の抱えられる水の量)が増えるので、水蒸気量も上げないと相対湿度がどんどん下がるわけです。
冬場にエアコンで部屋を暖めると湿度が下がるのはこのためですね。
ただでさえ冬は湿度低いので、加湿(=水蒸気量を上げる)しないとあっという間に30%とかになってしまいます。
 
ともあれ、これで外気温と相対湿度を室内温度と欲しい相対湿度へ変化する際のエネルギーの求め方がわかりました。
 
 

冷房負荷の計算式


と言いつつ、パラメータスタディする上で電気代負荷計算をする際の比エンタルピーを、いちいち湿り空気線図から読み取るのは面倒くさすぎます。

ということで、この潜熱の計算式は無いかなーと探していると下記リンク先が参考に。
 

ここでは冷房負荷の計算式がこのように示されています。
 

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細かくは先のリンク先で説明されています。
これで概ね潜熱計算が出来そうです。
 
計算に必要なパラメータはここまでにほとんど出てきたものばかりですが、絶対湿度は別途算出する必要があります。
 
 

絶対湿度の計算式

 
相対湿度から絶対湿度へはTetens(テテンス)の式を使って算出できます。
こちらの計算式は下記リンクを参照させて頂きました。
 

ちなみに、飽和水蒸気量と温度の関係グラフはここに出てくる式から求めました。
 

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EpのことろをE(t)にするだけです。
 

まとめ

 
・潜熱は液体→気体や、気体→液体に変わる際に必要なエネルギー
 
・温度が変わらなくても湿度が変わる際はエネルギー(潜熱)が必要
 
・潜熱は湿り空気線図などから求められる
 

湿り空気線図は空調業界では当たり前のように出てくるみたいですね。
私も設計者の端くれですが機械系なので、知らないことが多くて結構面白かったです。
 
長くなってしまったので、第1種と第3種の光熱費差額計算はまた次回に。
 

うーん、まだ続きそうです。

【第1種と第3種換気の電気代比較】第1種換気はイニシャルコスト回収に69年かかる??

 
どうも、まめろーです。

我が家の計画換気は第3種のパイプファン仕様としました。
主な理由は前回記載した通り、第1種換気と第3種換気の差額が大きすぎるためです。
 
今回はよく言われる、「第1種換気の熱交換タイプならイニシャルコストが高くてもランニングコスト(電気代)が安くなるのでペイできるよ」という部分を検証してみたいと思います。
 

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第1種と第3種換気のイニシャルコスト差額

 
第3種換気のダクトレスはパイプファンで強制排気し、給気口から新鮮な空気を取り入れます。
この排気用のパイプファンは、住宅に必ずついているレンジフード、浴室換気扇、トイレの換気扇を24時間換気システムに取り込めば、特に追加の費用は要りません。
これが第3種換気のイニシャルコスト(導入費用)の安い理由なわけです。

第1種全熱交換ダクト式の導入コストが50万くらい(製品によります)。
ここには本体価格とダクト配策、設備取り付け工賃を含みます。

それに対する第3種パイプファンの差額は、給気口のベントキャップ、換気フード、穴あけ(φ100)工賃くらい。
それぞれ¥4000で5箇所設置として合計¥60,000です。
レンジフードや浴室換気などの局所換気は第1種の全熱交換でも必要なので差額として計上はされません。

ということは、イニシャルコスト差額は+44万円(第1種が高い)となります。
 
 

第1種と第3種換気の電気代差額


電気代の差額としては、設備の消費電力費用の差額熱交換有無による冷暖房費用の差額とになります。

これを算出するには色々と計算する必要があります。
 

①換気設備消費電力費用の差額算出

 
第1種と第3種換気設備の消費電力差額を算出します。
(我が家の場合で計算します)
 
前提条件として、電気料金=¥28/kWで計算していきます。
 
まず、第3種の24時間換気に使用するパイプファン4つ。
 
レンジフードの24時間換気モード(クリナップのとってもクリンレンジフード)の消費電力が25W。
トイレ2箇所の換気扇消費電力が、4W(2W×2箇所)。
風呂の換気扇消費電力が9W。
合計38Wを8760時間(1年)と電力代単価と掛けて、9,321円/年。
 
あとレンジフードは料理時にも使用します。
料理時に24時間モードの排気量だと物足りないので、多くの人は「大」か「中」で使用しますが、今回は「中」で1.5時間/日使用するとします(朝昼晩30分ずつのイメージ)。1年で547.5時間です。
クリナップのレンジフード「中」で排気量350m3/hr、消費電力は74W。ただし24時間換気モードの25Wとだぶるので、その分マイナスして49Wとします(74-25)。
この消費電力費用として751円/年が追加されます。
 
ということで、合計の消費電力は10,072円/年です。
 

第1種換気の全熱交換タイプの消費電力は澄家DC-Sを参考とすると、換気設備の消費電力は45W。これを8760時間(1年)と電力代単価と掛けて、11,038円/年。これが24時間換気の分です。
 
あとは局所換気に使用する分。消費電力は第3種換気の時と同等です。
レンジフードは第3種と同様に、「中」74Wで1.5時間/日使うとすると、547.5時間(1年)なので、1,134円/年。
トイレは1時間/日使うとすると、365時間(1年)なので、41円/年。
風呂は8時間/日使うとすると、2920時間(1年)なので、736円/年。
合計で12,949円/年となります。

よって、消費電力費用差額は+2,877円/年(第1種が高い)ということになります。
 

②冷暖房費の差額算出

 
我が家の計算をしてみます。

前提となる諸条件は下記のとおり。

・気積 206.3m3
・換気回数 0.5回/hr
・電気料金 ¥28/kW
・A/C消費電力 510W(暖)、500W(冷)
・A/C能力 2800W(暖)、2500W(冷)
・外気温 1℃(冬)、32℃(夏)
・室温 25℃(冬)、22℃(夏) 

A/C(エアコン)はダイキンうるさらXを導入しようかな、と考えています。
8畳タイプでは上記のとおりの消費電力と能力でした(うるさらは消費電力高め)。

この前提条件で、換気による空気入れ替え分のA/C負荷電力を計算します。

熱容量の公式で考えると、Q=mc⊿T
 

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1時間あたりに入れ替わる空気の質量は、気積×換気回数×密度(ρ)なので、

 206.3×0.5×1.251=129kg

空気の比熱は1005J/kg℃、⊿T(温度差)は冬で24℃、夏で10℃。

まず冬の場合で考えます。
1時間あたりの空気入れ替えに必要な熱量は、公式に上記の数値を当て嵌めていくと、Q=3112kJです。

この熱量を時間あたりの電力に置き換えると865W(3112kJ×1000/3600)であり、A/C能力に対する損失分(余分にかかる負荷の割合)としては31%(864W/2800W)になります。

A/Cの消費電力は510Wなので、そのうち31%が空気の入れ替えによって余分に負荷がかかっていると考えられ、時間あたりの電気料金に換算すると4.41円(510/1000×0.31×28)。
A/Cを12時間稼働させると考えると53円/日、1ヵ月で約1,609円となります。
暖房は1年のうち5ヵ月稼働(11月~3月)として、8,045円/年となります。

同様の計算を、夏の温度差と冷房でのA/C能力と消費電力で実施します。
A/Cを12時間稼働させると考えると24.2円/日、1ヵ月で約736円となります。
冷房は1年のうち3ヵ月稼働(7月~9月)として、2,209円/年となります。

よって第3種換気の場合、換気による空気の入れ替えによる電気代損失は10,254円/年となります。

第1種換気の熱交換率を90%とすると、第1種換気の場合、換気による空気の入れ替えによる電気代損失は1,026円/年となります。

よって、冷暖房費差額は-9,228円/年(第1種が安い)ということになります。
 
 

第1種と第3種換気の電気代差額合計

 
上記から、電気代差額はtotalで-6,351円/年(第1種換気が安い)ということになります。
 
 
計算した結果、やっぱり第1種換気(熱交換タイプ)の方が電気代は安いけど、案外この程度…?もう少し差額が出るのかと思っていましたが…
 
これだとイニシャルコストの差額を10年で回収するのに69年もかかります。
 
 

全熱交換式なら湿度の回収分は?

 
熱容量の物理式では、温度差による損失分しか差額計算できていないことに気づきました。
顕熱交換(温度のみ熱交換)の第1種換気ならこの計算で良いと思いますが、全熱交換は湿度も交換するのでその分を考慮する必要があるはず。じゃないと旨味がないですもんね。
 

ということで、今回の差額算出は第1種換気の顕熱交換と第3種換気のパイプファンの差額となりました。

次回は、今度こそ全熱交換の第1種換気との差額について。
 

まだまだまだ続きます。

【計画換気】第1種と第3種換気のメリット・デメリット。我が家はどれにしたか?

 
どうも、まめろーです。
 
前回に引き続き第1種と第3種換気について。
それぞれのメリット・デメリットについて考えていきます。
 
 

第1種換気と第3種換気のメリット・デメリット

 
よく言われるそれぞれのメリット・デメリットとしては、第1種換気は熱交換するからランニングコストが安い(冷暖房費が安くなる)し快適、第3種換気は導入コストが安い、でしょう。
 
概ねで言えばそうですが、コストについて言うとランニングコストは安いけど、イニシャルコスト(導入費用)は高いし、10年後以降に故障した際の入れ替え費用を考えると第1種換気はやっぱり高いです。少なくとも第3種よりは絶対に高いはず。

その辺りは別で記載するとして、ここでは概要だけまとめて、さらっといきます。
ざっくりまとめると下表になると思います。
 

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第1種換気は前述の通り分類わけすると沢山ありますが、ここでは代表で全熱交換式でまとめます。
 

換気性能

 
換気システムなので、一番重要なところです。
 
これは第1種換気のダクト式が一番良いでしょう。
良いというのは「安定的に狙った換気が出来る」と言う意味で、第1種のダクト式なら給気も排気も1台の設備で集中管理し、ダクトで各部屋に供給・排気するので一番確実です。
ダクトの長さによる圧損はあるので、厳密には各部屋一律というわけでは無いでしょうが、他方式との比較では一番良いでしょう。
 
次点で第1種のダクトレスと第3種のダクト式。
第1種ダクトレスは強制給排気のため安定的に家の空気を入れ換え安いわけですが、家中の部屋がくまなくキレイに換気出来るかは難しいところです。
換気扇を家の端と端に付けて、数十秒ごとにモーターを正転・逆転させて給排気を行うのがダクトレスなのですが、この「空気の流れ」をきちんと設計している工務店ハウスメーカーは皆無でしょう。
もしも、「いや、うちは流体解析を実施して家中くまなく均一に空気が入れ替わる様に、全棟設計してるぜ!」っていう会社があったら是非教えてください。
 
第3種ダクト式は排気側を一個の換気扇で集中管理して、各居室に伸ばしたダクトから排気をします。
一方、給気は排気による負圧に頼った自然吸気なのでこれまた各居室につけた給気口から安定かつ一律な給気がされているかというと疑問です。
 
第3種のダクトレス=パイプファン排気はダントツで換気性能が不安。
上記の不安要素である空気の流れや給気の安定性はに加え、排気量もコントロールしづらい。
このあたりは別でもう少し掘り下げます。
 

快適性

 
快適性としては第1種換気(全熱交換式)です。
第3種換気は外気温と湿度がそのまま入ってくるので不快ですが、全熱交換式ならある程度緩和されるので快適です。

ただ、音については第1種換気はうるさいものもあるので、製品選定する時には発生させる音が何dBかは確認しておかないと不快な環境になるかもしれません。
最近はDCモーター使ったり、静音にも各社気をつけています。
 

メンテナンス性

 
メンテ性はどれも結構面倒なので評価しづらいところですが、ダクト式はダクト内部の日常的なメンテが困難なので×としました。
 
ダクトレスはダクトメンテの不安は無いけれど、フィルターのメンテはあるし◎というほどではないかなと。
ダクトレスは数多くの給気口のフィルターを交換しなくてはならないし、セントラル換気は天井だったり床下だったりにあるのでこれまた交換が大変です。

とはいえ、どれも慣れればどうってことないって意見もあるし、人に寄るところでしょうか。
 

イニシャルコスト

 
ここは数字で判断できるのでわかりやすいです。
第3種のパイプファン仕様が圧倒的に安いです。
給気口なんて1ヶ所数千円だし、排気は絶対付けるであろうレンジフードや浴室換気、トイレの換気を使うので余分にお金がかかるわけではありません。金額としては穴開け工賃とか含めても10万以下に収まるでしょう。
 
次点で第3種のダクト式。
排気用の換気扇がそれなりにお高く、定価で¥10~20万くらい。
加えて、ダクトを配する費用も馬鹿になりません。
 
ちなみに私は、日本住環境(株)のルフロ400で見積ったら総額¥35万になりました(差額でなく総額)。
換気扇本体の設計価格が¥139,000(税抜)だし、大手のローコストメーカーが標準にしてたりするくらいだから安いと踏んでいたので、この見積りにはぶっ飛びました。(うちの工務店が割引率低いだけ?)
いずれにせよ、工賃は馬鹿にならないとは思います。
 
第1種換気(全熱交換式)は設備費用からして高い。
ダクト式は本体定価で¥30~60万くらい、ダクトレスでも1set¥15~30万くらい(通常30坪で2~3set要ります)。
ダクト式はこれに加えて工賃も高いし、製品によりけりとはいえ最低でも¥50万くらい見ておいた方がいいかと思います。
 

ランニングコスト

 
ランニングコストは光熱費とメンテ費と分けてます。
光熱費は第1種が熱交換する分、冷暖房費用が安くなるため◎としてます。
ただし、どのくらい安くなるかは実際のところよく分かりません。
各メーカーのHP見ると第3種に対し年間¥3~5万くらい第1種が安い、¥10万以上差額が出るとしているところもあります。
このあたりは、これまた別で深掘りします。
 
メンテ費は、ここでは概ね設備の交換費用と考えてます。
フィルター交換費用の差はそれぞれあるのですが、10年間隔で設備故障→交換となった際の費用に比べれば可愛いものです。
(※とはいえこれまた製品によりますが。ものによっては、フィルター価格がウン万円、かつ3ヶ月交換推奨なんて恐ろしいのもあります)
 
 

我が家が選んだのは第3種換気パイプファン

 
以前書いたとおり、我が家は第3種換気システムのパイプファン仕様(ダクトレス)を選択しました。
 
高気密高断熱(C値0.5以下、Ua値0.46以下)を狙って設計している我が家なら、当然第1種換気システムを…とはならず。
計算上、第1種の全熱交換式だと第3種パイプファンとのコスト差がありすぎるのと、ダクト内メンテが気になり導入に踏み切れませんでした。
 
換気性能だけでも気にして第3種のダクト式であるルフロ400くらいは導入したかったのですが、前述のとおり¥35万のイニシャルに驚愕でした。これだとトータルコストで見た時のパイプファン仕様との差額が大きすぎてこちらも採用出来ず。
 
 
次回は、冒頭でも書いた第1種の熱交換ありと第3種換気のランニングコスト差額を計算してみます。
 
 
まだまだ続きます。