それいけ。注文住宅!

2Fリビング、スキップフロア、高気密高断熱、低予算。わがままいいつつ希望を叶える為におうちづくり頑張ってます。

【第3種換気】パイプファン換気の計算方法

 
どうも、まめろーです。
 
相変わらず時間がとれず更新頻度が牛歩のごとく。
建築状況も牛歩のごとく…とまではいかずともコロナの影響で大分遅れている感じです。
 
さて前回、パイプファン換気の何が課題か?ということで、下記2つを挙げました。

①給気口からの安定給気が難しい
②均一換気が難しい

1つ目は前回の通り。
今回は2つ目の課題について。
 

第3種パイプファン換気の配置提案(我が家の場合)


その前に、まずはモデルケースとして我が家の事例。
我が家の建築士さんから提案された給排気の位置を示します。
 

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排気はトイレ2ヶ所と風呂とレンジフードの換気扇を使用(レンジフードは24時間換気モード)。
給気は各居室とLDKに1ヶ所ずつの計4ヶ所。シックハウス対策の24時間換気の規定では、換気の対象は居室のみで納戸やWICなどの収納スペースは対象ではないので、建築基準法上はこれで問題ありません。

うーむ、至ってシンプル。
 

パイプファン換気では均一換気が難しい?


先ほどの換気扇と給気口の配置では、空気の流れは緑の矢印のようになると考えます。
 

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ただ、パッと見では1F客室に付ける給気口④が各換気扇から一番遠く、給気量が少なくならないか?と思いました。
普通に考えると、換気扇に近い給気口から空気を吸いやすいので、排気と給気の位置のバランスが悪いと、多く給気される所と少ない所で分かれてしまいそうです。
あと、玄関横の土間収納(SC)は空気の流れが出来ないので、臭いがこもったりしそうだな、というのもあります。
 

パイプファンの換気量を計算してみる

 
ということで、換気量を計算してみることにします。
 
まずは各換気扇のP-Q線図を入手します。だいたい換気扇の図面に記載されているので、図面を入手すればOK。
一例で、我が家のレンジフード(クリナップ:とってもクリンフード)のP-Q線図はこのようになってます。
 

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左がレンジフードの強中弱と常時換気(24時間換気)モードのP-Q線図、右が常時換気の拡大図。P-Q線図は、縦軸:P(静圧、MPa)、横軸(風量、m3/h)となっており、静圧が低いと風量が多く、静圧が高いと風量が弱くなることを示しています。
比べて分かるとおり、料理の時に使う強モードとかは風量がケタ違いです。
静圧もかなり上がっているので、気密性の高い住宅だと給気が足りずに室内が高い負圧でドアが開けづらい、なんてことになるわけです。

最大風量はというと、静圧0の時。図で一目瞭然、P=0の時がQ=Maxなわけです。
建築申請時にシックハウス対策として気積(≒家の体積)に対して、この換気扇の最大排気量(Q=Max)の合計値で0.5回/hを上回っていればOKになってしまいます。ですが実際のところ給気口からの圧力損失などがあるので、最大排気量よりかなり落ちます。
つまり建築申請通っているから計画換気はちゃんと出来ている!とはならないのですね。
(この辺りが第3種換気ではちゃんと計画換気出来ない、と言われやすい理由の一因ですね)

さて、給気口の図面を見るとこれまたP-Q線図が載っています。
 

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図は一例ですが、こちらは換気扇とは逆に風量が上がるほどP=圧力損失が大きくなる、ということを示しています。換気扇側と給気口のP-Q線図を掛け合わせると、実際の風量がわかるということです。
 

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この場合、線図の交点(作動点)をとると給気口から入ってくる風量は大体18m3/hということです。もちろんこれは大雑把な話で、実際には外の風の吹き込みやら、家の気密性による影響やらで実際にはもっと落ちると思います。
が、まずはこれをベースに考えていきます。
 

家全体のP-Q線図?

 
上記までの話は、わかりやすい話なのですが。
厄介なのは第3種換気のパイプファン仕様だと換気扇も給気口も複数なわけで、トータルで考えると結局風量足りてるのかどうか分かりづらいのです。換気扇の排気量もそれぞれ違うことがほとんどでしょうし。
どう計算すべきなのでしょうか?
 

仮説1:給排気のP-Q線図の単純和 説


とりあえず、換気扇と給気口のそれぞれのP-Q線図の単純和で計算してみます。
我が家における4つの換気扇のP-Q線図をまとめて図示するとこんな感じ。
 

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で、これを風量、静圧を単純和してグラフ化します。
同様に給気口①~④の4つ分を足してグラフ化します。
 

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我が家の気積は254m3なので、1時間当りに必要な換気量は127m3/h(図の赤線)。
この線図の作動点(青と緑線の交点)から風量を確認すると121m3/hなので…ありゃ?足りない?
本来ならこの図の赤線より右側に作動点が来ないといけないわけですが…
 
この給気口は花粉除去フィルター付きのもので多少圧損が高いです。
フィルター外せば必要換気量足りるでしょうが、せっかく給気口付けるのにフィルター無しは勿体ない。この場合、単純に換気扇を足すが吉かな。
 
とはいえ、これだと家全体の給排気量は分かっても、各給気口ごとの給気量がわかりません。最初に述べた、我が家の配置図の給気口④の給気量が少なくないか?というのを検証するためには他の計算方法も考える必要があります。
 
 
ひとまず、ここまで。
きっとまだ続きます。

【第3種換気】パイプファン換気の課題

 
どうも、まめろーです。
 
色々と忙しくなっており、久々の記事となりました。
コロナの影響はあれど、家づくりは少しずつ前に進んではいます。その辺、色々と書きたいことはあるのですが…中々時間がとれず。
今回は書きかけの記事があったのでそちらを。
 
前回、第1種換気熱交換タイプと第3種換気の電気代差額を長々と検討してきました。
そちらは結論づけたので、今回から本題(?)の第3種パイプファン換気の設計についてです。
 
 

第3種パイプファン換気の課題

 
換気システムのメリット・デメリット記事で記載したとおり、第3種パイプファン換気(ダクトレス)は換気性能、快適性、光熱費が×(悪い)です。
 

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光熱費(=換気に伴う電気代増加)については、前回までの検討の通りトータルコストでは結局一番安いので問題ありません。

課題となるのは、換気性能と快適性。
この2つをどうにかしなければなりません。

特に換気性能が悪いというのは致命的です。
何せ「換気システム」の根幹機能なのに、それが悪いとなるといくら安くても導入する価値はありません。

世の中の戸建てで最も多く採用されている換気システムなのに、課題が換気性能とは皮肉なものです。
 
 

換気性能の何が課題か?

 
では第3種換気の換気性能が悪いというのは、一体何が問題なのでしょうか?
主に下記の2つがあると考えています。

①給気口からの安定給気が難しい
②均一換気が難しい

この辺り、少し細かく考えていきます。
 
 

給気口からの安定給気が難しい


まず1つめの課題ですが、これは家の気密性問題です。
 

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横軸:気密性(C値)、縦軸:給気口からの給気量(%)となっているこの図、C値が1cm2/m2では50%程度しか入ってこないとなっています。

C値が0.5cm2/m2でも66%程度となっており、換気扇で室内を負圧にしても34%は給気口以外の隙間から入ってきてしまうことになります。
と言うことは、換気扇の排気能力次第では居室に付けた給気口からの外気流入が少なく、居室内の換気回数が基準の0.5回/hrを下回るパターンが出てきます。

居室での換気量が減るとシックハウス症候群の心配、CO2濃度や結露の問題などが発生するので0.5回/hrを下回るのは避けるべきです。

仮にC値が1cm2/m2だとすると、給気口からの給気量を確保するには1.0回/hrの換気量を確保すれば良い…わけでもなく、圧損や外気風圧などを考慮するとそれ以上の換気量が必要になります。
しかし、その場合給気口からの換気量は確保しても、それ以外の隙間から入ってくる分は過換気となり冷暖房負荷の影響が出てきます。特に昨今、全館空調も増えていますが、その場合は顕著に影響するでしょう。

前回の検討で算出した冷暖房負荷では、温暖な6地域でも1.25回/hrの換気では年間¥24,000以上の電気代損失になります。
エアコン稼働時間が24時間/日なら年間¥53,000以上の電気代損失です。
はっきりと無駄以外の何者でもありません。
 

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(詳しくはこちらの記事で)

mamero.hatenablog.jp

 

 
 
 
となると、C値をよくしなければなりません。
最低でもC値0.5cm2/m2以下が第3種パイプファン換気を使う条件になります。
我が家がC値0.5cm2/m2以下を要望しているのはこれが理由です。

第3種パイプファン換気を採用するならC値とセットで考える必要があり、逆に言うとC値にこだわらないなら換気システムは第1種を採用するしかありません。
 

C値が良ければそれで良い?

 
じゃあ、C値0.5で良いかというと実はそんなことも無く。経年劣化によるC値の悪化を考えておく必要があります。
木造住宅では木が動いたり、はたまた地震による揺れで隙間が出来てしまったりと、C値の経年劣化は必ずあるでしょう。

硬質ウレタンパネルで高断熱高気密をウリにしている「FPの家」では5年後の気密性劣化のデータを公表しています。
 

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(出典:FPの家HP → FPウレタン断熱パネル | FPの家
 

これによると、最悪0.5cm2/m2→1cm2/m2と倍程度に隙間が開く場合もあります。
5年経ってもあまりC値が変わらない場合もありますが、最悪5年後に倍程度に悪化すると考えておく必要がありそうです。
となると初期のC値は0.5cm2/m2より更に小さく0.25cm2/m2程度が欲しいところです。
 
しかし建築では隙間設計をしておらず、施工技術と気密ノウハウと気密測定に頼った「出来なり」でしかないので、要望してお金を積めば必ず達成できるものではありません。一応我が家も気密性については色々と策を講じましたが、C値0.25というのはかなり難しそうです。

我が家は初期C値0.5cm2/m2以下を狙う、それで5年後に換気性能の著しい悪化が見られれば第1種換気ダクトレスに切り替えようかと腹を括ってます(ただし電気配線の事前仕込みは必要)。

あとでお金を掛ける可能性があるくらいなら最初から第1種を入れるというのは立派な戦略で、元々我が家もお金に余裕があればそうしようと思ってはいました。
(お金さえあればね…我が家は無い袖は振れない、というだけなのです…)
 
 

給気口から安定した給気をするためには


・C値0.5cm2/m2以下がmust、出来ればC値0.25cm2/m2が欲しい
 
・そのためにも気密施工でC値0.5以下の実績のあるビルダー(HM、工務店)を選択する
 
・あとは気密性有利な建材、工法を選択する
 

これが主な対策です。

気密性は前述の通り、設計で担保出来るものではないので、気密施工ノウハウがしっかりしている会社でやってもらうしかありません。
我が家の工務店の場合は、facebookでC値0.5以下の実績を公表していたので、その点は一応クリアしていると言えます。
もちろん、気密測定はmustです。測定した結果が悪ければ多少手直しして良くすることも出来ますが、測定しなければ何も分かりません。

気密性有利な建材と工法の選択とは、例えば窓だったら気密性の悪い引き違い窓を少なくして滑り出し窓やfix窓を多くする、そもそもの窓の枚数を減らす、床断熱を基礎断熱にする、断熱材はウレタン吹きつけにする、などといった気密性有利な方策をとるということです。我が家はこのあたり、出来るだけ採用しています。
 

長くなったので次回に続きます。

【第1種と第3種換気の電気代比較】結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い

 
どうも、まめろーです。
 
前回、熱交換タイプの電気代節約比は年間¥5000程度という衝撃の結果を算出してしまいました。これだと、第1種と第3種のイニシャルコスト差額¥44万を回収するのに76.2年必要です。
 
ただし、前提条件が次第ではかなり結果が変わるかも、ということで少しパラメータスタディしてみました。

換気の電気代比較に関する記事は、これが最後になります。
 
 

先に結論:第1種と第3種換気の電気代差額について

 
今回の検討からの結論。
 
結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い
 
 

パラメータスタディの内容


前回、簡単な考察もしましたが計算の前提上件として気になるところは下記3つ。

①外気温が低い所の方が差額が大きくなるのでは?
 
②外A/C稼働時間:12hr/日が少なすぎるのでは?
 
③換気回数0.5回/hrが少なすぎるのでは?
 

①~③どれも前回の条件よりA/C電力負荷が厳しい方に振ってやれば、年間の電気代差額が大きくなると思います。この仮説の内のどれか、または全部やればイニシャルコスト差額を10年くらいでペイ出来るとこまでいくと良いのですが。
(いや、別に私が第1種換気を導入する訳では無いんですが…)
 
 

①外気温が低い所の方が差額が大きくなるのでは?

 
前回の計算時は、温暖な神奈川県横浜市の気象データを元に外気温を設定しました。省エネ基準地域区分では6です。
気温と湿度はA/Cを稼働している期間の9:00~21:00の平均値(直近3年分の平均)を使っています。

気象庁HPから6地域のデータを取得

 
ここでは神奈川より北側の省エネ基準地域区分5~1の都市の気象データを抜き取り、気温・湿度の平均値を取ります。
②でA/C稼働時間を12~24hrまで増やして計算するつもりなので、それに合わせて平均値も複数取ります。
代表で、気温・湿度の12hr平均(9:00~21:00)と24hr平均(0:00~24:00)の6地域のグラフを以下に示します。
 

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横軸が地域で、右に行くほど寒い地域です。縦軸は気温(℃)で夏(7~9月)、冬(12月~3月)それぞれで平均値を出しています。
12hr平均が概ね昼~夜の平均値なので、24hr平均の方が深夜の気温が加味されて低くなっています。
6地域の神奈川と1地域の北海道では平均値で10℃前後差が出ています。

ここに湿度のデータを追加するとこうなります。
 

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右軸に湿度を追加。点線▲プロットが湿度のデータです(湿度は右軸)。
寒い地域に行くにつれて概ね右肩下がりだった気温に比べて、湿度は夏と冬の湿度差がが少なくなって、収束していくように見えます。
また、収束しつつも寒い地域に行くにつれ若干の右上がりでしょうか。
このあたりはデータ取得した地域の特性(盆地だったりとか)にもよると思うので、一概に寒さと湿度の相関があるかはわかりません。

とはいえ、今回このデータを使う限り、顕熱負荷は1地域に行くにつれて上がるが、潜熱はさほど影響ないかも、と予測します。
 

6地域の電気代差額を算出

 

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寒い地域でも、あまり電気代差額が上がりませんでした。
これは、冬は差額が大きくなる方向なのですが、夏は寒い地域だと外気が冷房した室温に近しいため、夏場での熱交換メリットが薄いことが影響しているようです。
 

②A/C稼働時間:12hr/日が少なすぎるのでは?

 
となると、次のA/C稼働時間を変化させてみます。

元々の計算は、夏は3ヶ月(7~9月)、冬は5ヶ月(11~3月)1日12時間A/C稼働させることにしてました。
これが少ないかどうかは人それぞれですが、一応我が家のスタイルはこんなものです。
とはいえ、夏は深夜も付けている日があったりするし、世間一般でも24時間空調システムを導入してるご家庭もあると思うので、年々A/C稼働率は上がっているとは思われます。
 
ということで、稼働時間を1日12時間から2時間ごと増やし、MAX24時間まで計算してみます。
 
計算結果がこちら。
 
 

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A/C稼働が24hr/日になると、年間の稼働時間は5840時間。実に1年のうち67%がA/C付けっぱなしです。
ここまでくると温暖な6地域でも年間の電気代差額¥15,000を超えて来ます。1地域では¥18,000超え。

私の当初の熱交換タイプの電気代節約費用イメージが、このあたり(年間¥2万儲かればいいな、って感じ)でした。
とはいえ、これではイニシャル差額回収にはまだまだ及ばず。
 

③換気回数0.5回/hrが少なすぎるのでは?

 
ここまでは建築基準法下限値の換気回数0.5回/hrで換気量を計算していました。
これは家の中の空気を2時間で全て入れ替える量です。この辺りのことは以前触れました。
 
 
シックハウス対策やCO2濃度低減のためには換気量が大きい方が良いのですが、換気量が多くなればなるほど冷暖房時の電気代が高くなります。
エアコンで部屋を暖めている時に窓を全開にしてたら、中々温度が上がらず電気代に影響する、というのはイメージつくかと思います。

この換気回数ですが、実際には0.5回/hr下限値を目指すのは難しいと思います。
数字上は下限値付近を狙えなくはないですが、実際には給気口やらダクトやら外部風圧による圧損などが絡むのでスペック上0.5回/hr程度の排気量だと実際には換気量が足りない、なんてこともあるでしょう。
その辺りを考慮して排気量を多く設定していたりして、1回/hr以上の換気量になっている場合もあると思います

ともあれ、実際の換気量はわかりませんが、0.5回/hrの換気回数を0.25回刻みで1.25回/hrまで増やして計算してみました。
 

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このグラフは横軸:換気回数、縦軸:電気代差額です。温暖な6地域の神奈川で計算してます。
赤い点線より上にいくと第1種熱交換のイニシャルコスト¥44万を10年で回収できることになります(年間¥4.4万)。
温暖な神奈川では、換気回数を1.25回/hrまで増やして、A/Cを1日20時間(4867時間/年)以上稼働すれば10年でイニシャル回収できるわけです。

6地域分の換気回数変動による差額計算をすると、下図のようになります。
(ビジーな表ですみません)
 

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換気回数1回/hrでは、3地域より寒いところならA/Cを24時間稼働させれば10年でイニシャル回収できます。
 

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換気回数1.25回/hrでは、A/Cを1日20時間(4867時間/年)以上稼働すれば概ねどの地域でも10年でイニシャル回収できます。
 

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換気回数1.25回/hrは48分で家中の空気が入れ替わる量の換気なので、さすがに過換気と言えます。これではやはり、第1種熱交換を入れるためのイニシャルコスト差額回収はやはり厳しいと言わざるを得ません。
 
 

再び結論:第1種と第3種換気の電気代差額について

 
結論:第1種換気(熱交換)のコストメリットは無い
 
 

補足として


第1種熱交換式と第3種換気のイニシャルコスト差額を電気代差額分で回収するには、過換気(換気量を1.25回/hr以上)にする必要があることから上記結論に至りました。

しかしながら、3地域より寒い地域でA/Cを24時間稼働させていれば、イニシャルコスト7割回収出来るので、快適性と換気安定性を考慮すると第1種熱交換換気を導入する価値は大きいと思われます。
 
逆に4地域より暖かい地域で第1種換気熱交換を導入する場合は、高いお金を犠牲にして快適性と換気安定性を取るということで腹を括りましょう。
間違っても、「熱交換ありなのでトータルお安くなりますよ」という営業トークを理由に選択しないようにしましょう。 
 
 
さて、これで換気システムのコストについては、自分の中でスッキリしました。
とは言え、我が家は第3種換気を選択していますし、次回からはパイプファン換気の換気設計についてを。
 

…えっ、まだ続くの?

【第1種と第3種換気の電気代比較】潜熱考慮してもイニシャルコスト回収に72.6年必要です!?

 
どうも、まめろーです。

前回、潜熱計算方法の把握までは出来たので、今回こそ、第1種全熱交換と第3種換気の電気代比較をします。
 

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改めて、ここでいう電気代とは、24時間換気と局所換気(レンジフード、トイレ、浴室の換気)による空気の入れ替えで生じる、A/C電力負荷です。
なのでA/C電気代と言っても、家の断熱性能には左右されませんし、A/Cにかかる電気代全てを計算しているわけではありません(その際は断熱性能加味しないといけません)。

あくまで、換気による空気の入れ替え時に熱交換有り無しでどの程度電気代が変わるのか知りたいだけです。
第1種換気の熱交換式じゃないとお金がもったいないよ、というのが本当かな?と思っているのです。

さて、前置きはその程度で、本題の方へ。
 
 

前提条件の外気温と相対湿度


さっそく潜熱分の計算を…と思いきや、計算するうえでの外気温と湿度をどうするか。
 
この前、顕熱計算時の前提条件では、

・外気温 1℃(冬)、32℃(夏)
・室温 25℃(冬)、22℃(夏)

としていました。
室温は自分が普段それぞれの季節で、気持ちよく過ごしている温度にするだけなので良いですが、外気温と今回の計算に必要な湿度は適当じゃいけません。

この前の計算は、夏冬それぞれの最低気温くらいで算出してしまいましたが、ここの設定が現実と乖離していると計算結果への影響も大きそうです。
ということで、気象庁のサイトから自分が住まう場所のデータを取得します。
 

こちらのサイトからは各地域の気温、湿度、風速、降水、日照、積雪、曇量など色々取得できます。なんとも素敵です。

今回欲しいのは、A/C(冷暖房)を使用する下記の期間の、気温と湿度。

・夏 7/1~9/30 9:00~21:00(12hr)の気温と湿度 直近3年分
・冬 11/1~3/30 9:00~21:00(12hr)の気温と湿度 直近3年分

A/C使う期間は多少前後するものの、概ねこのぐらいでしょう。本当は直近10年くらいで平均値を出そうと思ったのですが、ダウンロード制限に引っ掛かりました。
 
あと、気温については自分の住む地域のデータがあったのですが、湿度についてはデータが無く。仕方なく、横浜の湿度で代用することに。

・夏 平均気温27.1℃、平均湿度73.3%
・冬 平均気温10.1℃、平均湿度53.5%

でした。やっぱり前回の計算は不利に見過ぎでしたので、今回はこちら用いて計算します。
 

前提条件

 
エクセルで作った計算シートベースで説明していきます。
まず、計算の前提条件がこちら。
 

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先ほど調べた気温と湿度は、「外気温」と「外部相対湿度」というところに入力してます。

 
第1種換気の熱交換率は顕熱:90%、潜熱:70%としています。結構良い値だと思います。
 
換気回数は基準の0.5回/hrで計算(局所換気分除く)。
本当は0.5回ピッタリなんてことはないけど、とりあえず検証用なのでこれで良しとします。

これを元に、①換気設備消費電力費用、②換気損失費用(顕熱分)、③換気損失費用(潜熱分)を計算して、第1種と第3種を比較していきます。
 

①換気設備消費電力費用

 

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一番上が換気設備の消費電力費用です。第3種パイプファン仕様の方が¥3,000近く安いです。

これは、換気システム本体の消費電力が第1種の方が高い(澄家DC-Sベース)こともありますが、第3種は局所換気も24時間換気に取り込んでいる分も安くなっています。
第1種だと24時間換気にプラスで局所換気の電気代が乗ってくるので多少不利です。
 
それよりも注目点は赤枠で囲った「実質熱交換率」です。
前提条件では顕熱:90%、潜熱:70%だったのですが、実際には顕熱:60.05%、潜熱:46.7%と大きく落ち込んでいます。
これは、熱交換する24時間換気量に対し、思いのほか局所換気量が大きいためです。
(特にレンジフードと風呂の換気)

消費電力費用の下に、年間の総換気量(24時間換気+局所換気)、24時間換気量、局所換気量が出ているのですが、総換気量のうち熱交換する24時間換気量は66.7%しかありません。実に1/3が熱交換していないことになります。
 
また、第1種と第3種で総換気量が違うのは、局所換気を24時間換気に組み込んでいるかどうかの差です。
 

②換気損失費用(顕熱分)

 
ここは以前も計算した、換気時の電気代損失のうち顕熱分の損失です。
 

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一番上が換気によるA/C電気代の損失(顕熱分)です。夏冬合わせて、第1種が年間¥3,749安いです。
 
計算式自体は大きく変わってませんが、前提条件の温度だったり熱交換率(※第1種の熱交換は先ほどの「実質熱交換率」で算出します)だったりが変わってるので、結果も変わってます。
 

③換気損失費用(潜熱分)

 
今回追加した分の計算結果(潜熱)です。
 

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一番上が換気によるA/C電気代の損失(潜熱分)です。夏冬合わせて、第1種が年間¥4,898安いです。
 
熱交換率も寄与してますが、湿度も温度と同等以上に負荷がかかってます。
 
 

第1種と第3種換気の熱交換有無による電気代差額

 
検証結果がこちら。
 

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なんと、年間の差額がたったの¥5,770しかありませんでした。
1ヵ月じゃないですよ、年間ですよ。
 
イニシャルコスト差額¥44万(第3種の方が安い)を電気代節約分でペイするには、76.2年もの歳月が必要…いやこれ無理だろ。

正直、潜熱考慮すれば電気代の差額が広がり、もう少し早くイニシャルコスト差額は回収できるかと思っていましたが、全然ダメでした。
 
自分で計算しておきなが、結構衝撃です。
 
 

計算結果についての考察

 
第1種熱交換タイプのWebページを見てみると、年間の電気代節約費用を謳っていたりしますが、大体¥2~5万の電気代節約、すごいところだと¥10万以上/年間の電気代節約になると書いていたりします。
でも、そういうところに限って細かな計算とか載っていないので比較できません。
 
電気代節約費が近しいところでいうと、共立エアテックのサイトで熱交換タイプの省エネ効果が算出されていました。3種のダクトタイプ比で年間¥12,086の電気代節約となっています。
ランニングコストの差額内容も結構細かく書かれてます(でも多分だいぶ昔の計算)。
 

これを自分の計算と比較すると、大きな違いは
 
・A/C冷暖房時期が長め(1.48倍)
・外気温・湿度が不利すぎる(冬は絶対湿度1.4g/kgで計算)
・COP(成績係数)が悪い(冷房3.57、暖房4.0)

このあたりです。

この前提条件から推察するに、各メーカー、電気節約費用が最大化する条件でやっているのだと思います。

冷暖房は24時間近く使う、外気温は北海道、COPは少し悪目で、なんていう条件だったらかなり電気代の差額が出るかもしれません。
 
あとは、換気量を換気回数:0.5回/hrで算出している部分です。
建築基準法上は換気回数:0.5回/hrを上回っていればOKなわけで、換気システムの換気量はそれを上回っているのが多いと思います。
換気システムの換気量を増やせば電気代差額はどんどん広がるので、その辺りももう少し検証する必要があります 
 
その辺り、次回パラメータスタディしてみようかと思います。
 
 
そろそろ、終わりが見えてきました。

【第1種と第3種換気の電気代比較】潜熱の計算方法とは?

 
どうも、まめろーです。
 
前回第1種と第3種換気の電気代計算をして、どの程度熱交換タイプが安いのか検証しました。熱容量計算では湿度分の熱計算が出来ていなかったので、今回はそのあたりを検証していきます。
 

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潜熱とは

 
まずは専門用語の潜熱を理解します。

第1種換気の熱交換では顕熱交換(温度のみ)と全熱(温度と湿度)の2種類あります。
全熱の場合、顕熱+潜熱の交換となっており、潜熱=湿度として記載されているのがほとんどです。
 
潜熱とは
潜熱(せんねつ、英語: latent heat)とは、物質の相が変化するときに必要とされる熱エネルギーの総量である。通常は融解に伴う融解熱と、蒸発に伴う蒸発熱(気化熱)の2つをいう。潜熱の概念は1750年にジョゼフ・ブラックが導入した。 物質が固体から液体、もしくは液体から気体に相転移するときには吸熱が起こり、逆の相転移のときには発熱が起こる。

 (Wikipediaより引用)

 

これだけだと全くわからないです。

もう少し調べたところ、ざっくり言うと潜熱とは「状態変化(物質が固体・液体・気体と状態を変えること)に使われる熱」のこと。

液体が気体になる時には潜熱が必要(外部から熱を奪う)だし、気体から液体になる時には潜熱を除去(熱を外部に放出する)する必要があります。
前者はいわゆる気化熱というやつで、汗をかくことで体温を下げる、というのが身近な例です。

これが湿度変化による電気代損失の計算とどう結びつくかですが、例えば室内の相対湿度を上げる際に加湿機を使います。過熱して加湿するものと、水分を霧吹きにして出すものがありますが、後者の場合湿度が上がる替わりに温度が下がります。我が家の加湿機がまさにこのタイプなので、真冬に加湿機のスイッチ押すと寒いのです。
これは水蒸気量が増える際に熱を奪っている(潜熱)からです。
寒くなると暖房を強くしないと室温が下がるわけで、こういった分がA/C電力の負荷となってくるわけです。
 

湿り空気線図とは


換気による電気代損失のうち潜熱分を把握したいわけなのですが、調べると「湿り空気線図」なるものがありまして。
 

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(出典:空気調和・衛生工学会)
 
 
線だらけでわかりづらいのですが、この図で顕熱変化と潜熱変化に対する比エンタルピーがわかります。
エンタルピーは物体の持つエネルギーの総量(kJ)です。また、単位質量当たりの物体の持つエネルギーは比エンタルピー(kJ/kg)といいます。
 
一例として、a)温度0℃ 相対湿度50% → b)温度20℃ 相対湿度50% の時を見てみます。
この線図では横軸:温度(℃)、縦軸:絶対湿度(kg/kgDA)、曲線:相対湿度(%)となっているので、a、bをプロットすると下図のようになります。
 

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ここでa、bそれぞれの点から左上の「比エンタルピー線(kg/kgDA)」まで線を伸ばすと、温度と相対湿度の変化による比エンタルピーがわかるわけです。

面白いのは、a点から右側に線を伸ばして行くと絶対湿度がわかるわけですが(ここでは絶対湿度0.018kg/kgDA)、その線と20℃の線の交点をc点とし、左上の比エンタルピー線まで伸ばすと顕熱分の比エンタルピーが分かるのです。
同様にc点からb点までの比エンタルピーが潜熱分になります(顕熱と潜熱を合わせて全熱)。
 

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これはつまり、横軸:温度の変化が顕熱縦軸:絶対湿度の変化が潜熱ということ示しているわけです。
 
また、この図を見てわかるとおり、0℃→20℃に変わる際に絶対湿度(水蒸気量)が変わらない場合は、相対湿度が下がります(a→c点)。
相対湿度は「水蒸気量(g/m3) / 飽和水蒸気量(g/m3)」なので、相対湿度を上げるには水蒸気量を上げるか、飽和水蒸気量を下げる必要があります。
分母の飽和水蒸気量は温度で決まるので、この場合水蒸気量=絶対湿度を上げる必要があります。

ちなみに、温度と飽和水蒸気量の関係性は以前も出しましたがこのグラフ。
 

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温度が上がると飽和水蒸気量(=空気の抱えられる水の量)が増えるので、水蒸気量も上げないと相対湿度がどんどん下がるわけです。
冬場にエアコンで部屋を暖めると湿度が下がるのはこのためですね。
ただでさえ冬は湿度低いので、加湿(=水蒸気量を上げる)しないとあっという間に30%とかになってしまいます。
 
ともあれ、これで外気温と相対湿度を室内温度と欲しい相対湿度へ変化する際のエネルギーの求め方がわかりました。
 
 

冷房負荷の計算式


と言いつつ、パラメータスタディする上で電気代負荷計算をする際の比エンタルピーを、いちいち湿り空気線図から読み取るのは面倒くさすぎます。

ということで、この潜熱の計算式は無いかなーと探していると下記リンク先が参考に。
 

ここでは冷房負荷の計算式がこのように示されています。
 

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細かくは先のリンク先で説明されています。
これで概ね潜熱計算が出来そうです。
 
計算に必要なパラメータはここまでにほとんど出てきたものばかりですが、絶対湿度は別途算出する必要があります。
 
 

絶対湿度の計算式

 
相対湿度から絶対湿度へはTetens(テテンス)の式を使って算出できます。
こちらの計算式は下記リンクを参照させて頂きました。
 

ちなみに、飽和水蒸気量と温度の関係グラフはここに出てくる式から求めました。
 

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EpのことろをE(t)にするだけです。
 

まとめ

 
・潜熱は液体→気体や、気体→液体に変わる際に必要なエネルギー
 
・温度が変わらなくても湿度が変わる際はエネルギー(潜熱)が必要
 
・潜熱は湿り空気線図などから求められる
 

湿り空気線図は空調業界では当たり前のように出てくるみたいですね。
私も設計者の端くれですが機械系なので、知らないことが多くて結構面白かったです。
 
長くなってしまったので、第1種と第3種の光熱費差額計算はまた次回に。
 

うーん、まだ続きそうです。